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設立趣旨書

NPO法人食の安全と微生物検査 設立趣旨書

我が国における食中毒患者数は年間3万人に達し、実際の総数はその50~700倍に達するとも推定され、国民に多大の被害を与え、その原因の多くが微生物に由来している。平成8年の腸管出血性大腸菌O157による大規模食中毒事件は市民に強い衝撃を与え、食品の安全と安心への不審を募らせたことは記憶に新しい。最近ではノロウイルスによる大規模かつ頻回な食中毒事例が広く市民に知られるようになり、夏季の細菌性食中毒のみならず、冬季におけるノロウイルス患者の激増により、年間を通じて市民の食品の安全性に対する懸念が大きくなっている。したがって、食品の微生物学的安全性確保を図り、市民の食品の安全性に対する不信感を払しょくすることは急務となっている。

食品の微生物学的安全性確保の手段としては、(1)食品の生産から消費までのフードチェーン全体において、食品に影響を与える環境の衛生管理、(2)食品の生産、製造、加工調理に携わる者で、病原微生物を保有している者からの二次汚染防止対策、(3)食品に起因する微生物学的ハザードの制御がある。

これらの3つの管理は、一義的にはコーデックスの食品衛生の一般原則及びHACCPの実施により行われるが、その管理の妥当性、安全性を検証する手段として、微生物学的検査がある。その検査は科学的な根拠に基づく感度と特異性が保証され、出来る限り迅速性、簡便性が確保され、検査の目的に合致し、かつ、広く一般に利用可能な方法により実施されなければならない。

また、これらの検査を行う人やその結果を解析し利用する人は、最終的に食品を食する人々が広く市民一般であることを強く認識し、その安全性を確保するために適切な検査方法を用いる責務を負っている。

食品の微生物学的安全性を確保するための手段として用いられる微生物検査を十分に機能させるためには、検査法の標準化や検査技術の向上が必須であり、これには検査施設への技術の普及・啓発のみならず、検査を依頼する立場にある食品関連企業への検査の目的、意義、限界、結果の解釈等に関しての情報提供などを積極的に推進することが必要である。そして、何よりも、広く一般市民に食品の安全性確保における食品関連微生物検査の必要性や国際的水準にも合致し、妥当とされる姿を示して啓発し、微生物検査に関する市民の関心を高めていくことが重要である。

こうした取組みを進めていくためには、微生物検査に関する情報を広く世界から収集して解析を加えたうえで提供すること、標準的な検査方法が定められているまたは新たに提案されている場合にはその正しい利用法と結果の解釈を分かり易いマニュアルで提供すること、自主的な衛生管理の目的で微生物検査を行う場合に適した迅速で簡便な検査方法について科学的な根拠を持って紹介・普及すること、などの多様な取組みが必要である。

これまで、任意団体として8年間の活動を通し、標準的な検査方法を紹介する検査マニュアルを作成・提供し、全世界を網羅した食中毒情報の配布、年2回の講演会を開催するなどにより、食品の安全性確保の課題に取組んできた。今後ともこうした取組みを強化し、市民のニーズにあった情報のタイムリーな発信を徹底していきたい。そうした努力が、市民の食の安全の確保、食への安心の醸成に貢献することとなり、広く社会公益に適った活動を展開していくこととなると考える。

これらの活動を進めていくためには、発信した情報に責任が持てること及び情報の受信者から情報の発信源として信頼されることが重要である。そのためには、他の営利団体から完全に独立した法人格を有することが必要であり、特定非営利活動法人化することにより、本協議会の趣旨が全うされるものと判断し、特定非営利活動法人の設立を決意したものである。

NPO法人食の安全と微生物検査
〒156-8502 世田谷区桜丘1-1-1 東京農業大学8号館3階 食品安全研究センター内
電話:080-6390-2432(共用電話:03-5477-2619 共用FAX:03-5477-2730)
Mail: fsmadoguchinfo@foodsafety-mbt.com  URL:https://www.foodsafety-mbt.com


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